ロバート・ハットフィールド・エルズワースの思い出 ①
去る2014年12月11日クリスティーズジャパンにて行われたロバート・ハット
フィールド・エルズワースコレクションの日本プレビューのご案内をいただきました。
ロバート・ハットフィールド・エルズワース氏(1929年〜2014年)は著名な東洋美術の
コレクターでありディーラーでした。氏の2000余点のコレクションのオークションが
今年3月にニューヨーククリスティーズで行われる予定でありそれに先立ったプレビュ
ーが東京で開催されたのです。
ロバート・ハットフィールド・エルズワース氏は私にとって強く思い出に残る人物の
一人です。氏に関する最初の記憶は1992年12月のことです。
1992年12月私はニューヨーククリスティーズで一回目の李氏(啓巌)羣玉斎旧蔵碑版法帖
のオークションに参加するため初めてニューヨークを訪れました。アメリカに行くのは
初めてでしたが、当時ニューヨーククリスティーズで東洋美術の主席キューレターを
勤めていた黄君実氏と馬成名氏の手厚いサポートをいただくことができました。
おかげで中国美術特に私が専門とする古代書画は当時ニューヨークが売買の中心地
でしたが、そこに集う王季遷氏や王芳于氏を始めとする多くのコレクターや
ディーラーの方々と知り合うことができました。
1992年12月のニューヨーククリスティーズのオークションに出品された李啓巌旧蔵の
碑版法帖のうち南宋拓石鼓文、明拓天發神識碑、宋拓黄庭経、宋拓懐素千字文
(群玉堂帖)等の素晴しい名品がロバート・ハットフィールド・エルズワース氏に
よって落札されたのです。
そしてこれらの落札品は1996年8月に中国文物出版社から「エルズワース善本碑帖
コレクション選」として出版、ほぼ同時期に作品は北京故宮博物院で展観され、
その後上海博物館への売却に繋がっていくのです。