美術の評価について「時の試練」


美術品の評価というのはどういうことだろうかと考えていました。評価が上がるとか、下がるとか、、、。Sotheby’s Japanの石坂社長がSotheby’s「White Glove Newsletter Vol.24」にこう書かれていました。一部引用します。『時の試練 政治、経済においてもそうだが、美術の世界でもその作品が後世に残る人類の宝となるか、一時の流行で終わるかの分かれ目は「stand the test of time」、つまり時の試練に耐えられるかどうかによる。年齢を重ねるにつれ、この言葉の持つ重みをひしひしと感じる。美術品に最初に訪れる「時の試練」は、買った美術品を自宅に持ち帰った1週間後、1ヶ月後だろうか。そういう意味では「Can you live with it?」という表現はとても言い得て妙だ。眺めれば眺めるほど、作品の微妙な色彩表現」、重層な構成の複雑さに気づき、味わいが深まる作品であれば合格だ。逆に、最初あれほど感動していた、わかりやすい美しさが、実は装飾的で薄っぺらに感じられるのであれば落第だ。料理も同じだ。わかりやすいけど飽きる料理もあれば、食べれば食べるほど手間暇をかけた出汁の旨味に気づく料理もある。

次に訪れる「時の試練」は、その作家の世代が第一線から退場するときだ。生前有力な画商、コレクターの恵まれ、必要以上に評価が高かった作家もいれば、ゴッホのように生前コレクターに縁のなかった作家もいる。それから、時代の先を走っている作風もあれば、単にその時代のファッションを表面的に描いて共鳴を得た作家もいる。ふくよかな女性を描いた作品が持て囃された時代もあれば、ピカソの「貧しき食事」のように針金状の細い人物像が共感を得ていた時代もある。またロココ調が全盛の時代もあれば、ミニマリズムが幅を利かせていた時代もある。西洋文明が栄華を極め、東洋文明が置き去りにされた時代もある。戦火、天災も忘れてはいけない。そういうすべての価値観の変遷、試練を乗り越えて残った作品だけが古典となる。』引用長くなりました。

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須田剋太「無題」 36×27,5㎝

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津高和一油絵「Untitled」1957年作 8号

私は日本の5~60年代抽象表現が以前から個人的に好きでした。この3点の作品は私が気に入って求めたものですが、購入した時期も、購入した場所もばらばらです。でもこうして画像を並べて眺めてみるとなんとなく自分の好みが分かるような気がします。これらの作品いつか時の試練に耐えて評価される時がくるのでしょうか?

博文堂製南唐拓澄清堂帖


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日本の戦後現代美術作家への再評価


先日国立国際美術館で日本の6~70年代を代表する作家高松次郎の回顧展を観たからか、80年代の日本の現代美術シーンがいろいろと思い出されます。私が中国美術の仕事を始めたのは1985年ですから、もともと現代美術には関心があり80年代の大阪の状況ははリアルに体験しているのです。大阪の画廊や作家もとても元気がありましたね。今は火が消えたようにひっそりしていますが、、、。

そんな中、最近世界のマーケットでは吉原治良の起こした大阪の具体美術運動などの日本の戦後現代美術の再評価が著しく、なかでも白髪一雄、田中敦子などのアーチストは「億越えの作家」として国際市場を牽引しています。

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サザビーズパリ6月3日のイブニングセール「Art Contemporain」の会場風景(画像:サザビーズ公式facebookにより)

これは2014年6月パリで行われたササビーのセールで5億4950万円のオークション記録を達成した白髪先生の作品です(Sotheby’s 「White Glove Newsletter」Vol.24より)。この作品は大阪万博のために制作されたみたいですね。その時代の気分ですね、素敵です。気のせいでしょうか、大阪ってコスモポリタンな気分がありますよね。今はひっそりしてしまったのに再評価だなんて、皮肉ですが過ぎ去ってみないと評価できないのですね。中国では現在のところ奈良美智や村上隆、草間弥生の御三家が人気がありますね。

最近観た展覧会


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東洋陶磁美術館「黄金時代の茶道具」展

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国立国際美術館「高松次郎 制作の軌跡」展

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神戸市立博物館「ボヘミアングラス」展

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